国と自治体でつくる「首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」は平成26年8月、国土交通省提案の羽田空港の発着枠拡大のための新しい滑走路運用、飛行経路案について議論を開始した。これは、南風運用時の15時から19時にかけての着陸時に、品川区内上空約200~450㍍を1時間あたり2ルート合計44機が飛行することを含む計画である。騒音をはじめ区民生活に多大な影響が懸念されることから、品川区議会は同年12月、国土交通大臣に対し、①騒音影響調査と住民意見の聴取や対策の実施、②市街地への影響を及ぼさない方策の検討、③区との連携の3点を求める意見書を提出した。
その後、国土交通省はオープンハウス型住民説明会を開催した。そして、7月28日に、「第4回首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」を開催し、そのまとめで、「羽田空港機能強化に係る環境影響等に配慮した方策」を説明し、「関係自治体は、本方策が、関係自治体からの要望や住民意見等も踏まえ、環境影響等に配慮した方策であると評価した」「関係自治体は、羽田空港機能強化に必要となる施設整備に係る工事費、環境対策費を国が予算措置することを理解した」と述べている。この会議の参加は23区からは区長会会長のみであり、その内容については、資料も含め当日示されたものである。このまま国土交通省がこの事業をすすめることに危惧を抱いている。
品川区に関連する方策が8月9日付で発表され、学校、病院等の防音工事などが示されたが、まだまだ具体的な対策が明らかになっていない状況である。騒音、落下物やその他の事故の可能性など、区民の不安は解消されていない。
よって、品川区議会は政府に対し、下記の事項を強く要望する。
記
- 国土交通省は、品川区と十分協議すること。
- 新飛行ルート(案)について、騒音、落下物やその他の事故の可能性など品川区民への影響とその対策、「第4回首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」で示された「羽田空港機能強化に係る環境影響等に配慮した方策」について、具体的に区民に説明すること。その際、教室型説明会を含む多様な手法を工夫すること。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
平成28年12月7日
品川区議会議長 大 沢 真 一
国土交通大臣 石井 啓一 様