「こころの健康を守り推進する基本法(仮称)」の法制化を求める意見書

 今、国民の「こころの健康」は深刻な状況にある。平成10年から毎年3万人以上の人々が自殺によって命をなくしている。精神科を受診する人は、平成17年には300万人以上、つまり40人に1人以上となっている。
 品川区では、精神障害者保健福祉手帳の所持者は、各4月1日現在で、平成21年は1,089名、平成22年は1,142名、平成23年は1,304名と、ここ数年、増加傾向にある。
 WHO(世界保健機関)によると、疾病による死亡と残された障害による社会への影響を測る「障害調整生命年(DALY指標)」においては、日本や先進各国でがんや循環器疾病に比べて、精神疾患が政策的重要度の最も高い疾患であることが明らかにされている。
 平成23年7月6日、厚生労働省は「4大疾病」と位置づけて重点的に対策に取り組んできた「がん、脳卒中、心臓病、糖尿病」に精神疾患を加えて、「5大疾病」とする方針を決めた。がん152万人、糖尿病237万人に対して、精神疾患は323万人に上り、重点対策が不可欠と判断された。
 精神疾患の症状は不安定で、その社会生活の困難さは理解されにくく、患者を支える家族自身も社会的に孤立しやすいことから支援が必要である。
 平成18年4月に障害者自立支援法、平成18年10月には自殺対策基本法が施行され、こころの健康に対して総合的に取り組んできているが、地域社会で安定した日常生活を営むための精神保健・福祉サービスの提供体制の整備は不十分である。例えば、医療においては、精神科入院病棟における医師、看護師の比率は一般の医療水準に比べ、医師は3分の1、看護師は3分の2と低く設定されており、慢性的な人手不足の状況である。
 また、長期の精神障害を持つ人の家族が精神健康上の困難を抱える率は、一般の人々の3倍であると言われている。統合失調症に関しては、薬物療法、精神療法に加えて、家族心理教育などを行った場合、再発率が最も少ないことが国内外で報告されており、このため、家族への情報提供、実際的・具体的な支援が必要であるといえる。
 厚生労働省の「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」を受けて設立された、家族・当事者、医療福祉の専門家および学識経験者による「こころの健康政策構想会議」では、家族・当事者のニーズに応えることを主軸に据えて会議を重ね、平成22年5月末に厚生労働大臣に「こころの健康政策構想会議提言書」を提出した。その中で、精神医療改革・精神保健改革・家族支援を軸として、国民すべてを対象とした、こころの健康についての総合的・長期的な政策を保障する「こころの健康を守り推進する基本法(仮称)」の制定を強く求めている。
 よって、品川区議会は、国会および政府に対し、「こころの健康を守り推進する基本法(仮称)」の制定を強く求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

平成24年3月23日

品川区議会議長 鈴 木 真 澄

衆議院議長 横 路 孝 弘 様
参議院議長 平 田 健 二 様
内閣総理大臣 野 田 佳 彦 様
文部科学大臣 平 野 博 文 様
厚生労働大臣 小宮山 洋 子 様