都区制度改革に課題として残された「主要5課題」に関する決議

 平成12年4月の都区制度改革によって、特別区は基礎的自治体として明確な地位を確立し、自己決定、自己責任の範囲を一定程度拡大することにより、創意に富んだ施策を展開することができるようになった。品川区においても、清掃事業が都から移管されると、直ちに繁華街等でのごみの早朝・各戸収集を実施し、現在では、既に区内全域実施に向けて各戸収集の拡大を進めるとともに、粗大ごみ受付センターも独自に運営し、区民から高い評価を得ている。こうした経緯は、基礎的自治体が地域に密着した事業を処理することが、単に地方自治法の原則であるだけでなく、現実に住民福祉を大きく向上させることを明瞭に示している。
 このように、特別区が基礎的自治体本来の力を遺憾なく発揮し、その責任を全うするためには、特別区の自治権がさらに拡充される方向で都区本来のあるべき役割分担が明確にされるとともに、それにふさわしい財源配分のあり方が確立されなければならない。本来、特別区財政調整交付金に充てられている固定資産税・市町村民税法人分・特別土地保有税は特別区の自主財源であり、都が必要とする限度において特別区が都に配分すべき財源である。
 先の都区制度改革では、こうした自治の根幹に関する課題が「主要5課題」として残され、その際平成17年度までに解決することが都区双方で確認された。このため、品川区議会は特別委員会等で毎年調査研究を行い、本年5月には、この「主要5課題」を調査事項とする「自治制度特別委員会」を設置し、課題解決のための具体的な都区協議に備えたところである。
 しかし都は、本年7月に行なわれた特別区長会の申し入れを始めとする特別区の再三の要請にもかかわらず、都が自らの役割であるとし、現に実施している「大都市事務」の具体的内容を現在に至るも明らかにしていない。このため、都区本来のあるべき役割分担とその財源配分のあり方を明らかにするための協議に入れない事態が続いている。都は本年12月から来年1月を目途に、「大都市事務」を含む「大都市行政」の内容を提示するとしているが、平成17年度都区財政調整協議の協議時期を踏まえ、遅くとも年内の提示が不可欠である。
 以上の前提に立ち、品川区議会は東京都に対し、次の事項の解決に誠意をもって臨むよう強く求める。
1 都が行なう大都市事務・財源の明示による都区間の役割分担と財源配分の明確化
2 清掃関連経費の財源として都に残した745億円の特別区への移転
3 間近に迫った小中学校改築需要急増に対応できる財源の確保
4 都区双方の都市計画事業の実施状況に見合った都市計画交付金の確保
5 国の政策の影響等も含めた都区財政調整配分割合の特別区における拡充

以上、決議する。

 平成16年11月26日

品川区議会議長  松 澤 利 行