ウルトラ・オーファンドラッグ開発促進・支援のための法整備等を求める意見書

 遠位型(えんいがた)ミオパチーは、体幹部より遠い部分から徐々に筋力が低下していく「進行性」の筋疾患で、国内では400~500人程の希少疾病である。
 多くは20~30歳代で発症の後、上下肢の筋力低下と共に歩行困難となり、日常生活全般に介助を要し、やがて寝たきりとなり、経済的にも大きな負担を強いられ、現在、有効な治療薬・治療法がない。
 独立行政法人国立精神・神経医療研究センターが世界に先駆けて、縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(DMRV)治療における「シアル酸補充療法」の開発研究を進め、平成21年5月には、マウス実験による治療法開発の可能性(薬理効果)が全世界に向け証明された。
 ウルトラ・オーファンドラッグ(患者数が特に少ない希少疾病用医薬品)は、現在、薬事法に規定がなく、国の支援策も十分ではない中で、平成21年8月には、患者団体の要請に応えて日本の製薬会社が「儲からない薬」の開発に着手した。
 その製薬会社によって、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業を活用した取り組みが実行され、平成23年6月に、東北大学病院の医師主導によるDMRV治療薬の第I相治験を終了した。
 その後も独立行政法人科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業(A-STEP)の助成を受けるものの助成金額は十分でなく、次のステップとなる本格的な患者服用による第II・第III相治験を行うには10~20億円とも言われる巨額の資金が必要であり、開発が暗礁に乗り上げたままになっている。
 患者団体はこれまでに「特定疾患への指定及び治療薬開発の推進」を求める署名活動や「ウルトラ・オーファンドラッグ開発支援と我が国の創薬・難病対策に関する要望」を提出するなど、政府・関係省庁への積極的な要請活動を行ったが、いまだに創薬支援策実現に向けた明確な前進は見えていない。
 計り知れない不安を抱きながら難病と闘っている希少疾病患者にとっては、日々進行する病状を考えると、もはや一刻の猶予もない深刻な状況であり、治験の継続により一日も早く治療法が確立され、そして研究の継続により完治することを待ち望んでいる。
 よって、品川区議会は国会及び政府に対して、下記の事項を早期に実現するよう強く要望するものである。

ウルトラ・オーファンドラッグ(患者数が特に少ない希少疾病用医薬品)の開発を促進・支援するための法整備を行うこと。
遠位型ミオパチーをはじめとする希少疾病に関する研究事業の更なる充実強化と継続的な支援を行うこと。
希少疾病用医薬品の早期承認と医療費補助を含む患者負担軽減のための措置を講ずること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成24年12月7日

品川区議会議長 鈴 木 真 澄

衆  議  院  議  長  様
参議院議長  平 田 健 二 様
内閣総理大臣 野 田 佳 彦 様
厚生労働大臣 三 井 辨 雄 様